2006 Fiscal Year Annual Research Report
英語における形容詞が関わる構文の意味的ネットワークについて
Project/Area Number |
17720120
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Research Institution | Iwate prefectural university,Miyako college |
Principal Investigator |
金澤 俊吾 岩手県立大学宮古短期大学部, 経営情報学科, 准教授 (70341724)
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Keywords | 英語 / 形容詞 / 転移修飾構文 / Way構文 / 因果関係 / 事象 / クオリア構造 / アフォーダンス |
Research Abstract |
[形容詞(A)-名詞(N)]の統語的配列から構成される英語の諸現象に関して、今年度は特に次の4つの現象について考察してきた。第一に、a dizzy mastなどの名詞句にみられる形容詞と名詞との間にみられる時間的関係について考察し、形容詞が名詞を修飾する際には、名詞と関わりの深い動作が関与していることを明らかにし、その解釈は、人間の認知メカニズムであるアフォーダンスによって動機づけられ、クオリア構造を用いて説明できることを示した。 第二に、先行研究では、様態の副詞とほぼ同義であるとして扱われてきた形容詞に関して、様態の副詞とは区別して分析されるべきであり、その違いは、形容詞と動詞との間にみられる事象間の時間関係および因果関係の有無に起因することを提案した。 第三に、Way構文に生起する形容詞の意味的振る舞いについて考察した。その結果、当該構文に生起する形容詞と名詞との意味的関係は単一ではなく、7つのパタンに分類されることを示した。 第四に、Have a構文、転移修飾表現、Way構文が形成されるメカニズムと、各構文・現象間にみられる意味的ネットワークについて考察した。その結果、形容詞と名詞のクオリア構造内に指定される意味役割との対応関係を考えることで、句レベル、文レベルに関わらず、構文・現象の分布を適切に説明できることを示した。 本研究により、英語における形容詞は、名詞で表される実体の状態を表すという単純なものではなく、名詞と結びつきの強い動作も視野に入れて修飾関係を考える必要があることを明らかにした。また、英語の形容詞の修飾の仕方は、限定用法、叙述用法の区別にかかわらず、事象間の因果関係および時間関係において捉えられるべきであり、このことが、形容詞が関わる構文のネットワークを形成する際にも影響を及ぼしていることを示した。
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Research Products
(4 results)