2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本語教育における日本語母語話者・非母語話者混成クラスの相互行為に関する研究
Project/Area Number |
17720122
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
杉原 由美 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 研究員 (00397069)
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Keywords | 日本語教育 / 混成クラス / ディスカッション / 相互行為 / エスノメソドロジー / 会話分析 / カテゴリー化実践 / 非対称性 |
Research Abstract |
本研究は、異なる文化背景や言語背景を持つ人々と共生する社会をいかに実現していくかという多文化共生の観点を基盤として、日本語母語話者と非母語話者が相互に学習することを期待し同じ立場で参加して対話する機会を持つ「混成クラス」を研究対象とし、活動を検討し改良していく示唆を得ることを目的として、現場の相互行為を分析するものである。 本年度は、既に参与観察して収集済みの「大学の日本事情教育での日本人学生と留学生の混成クラス」半年分授業の録音・録画データについて、データ整理・文字化作業・文献での分析理論枠組み探索・データ分析を行った(全て継続中)。具体的な作業としては、授業場面のデジタルビデオテープの録画データを分析可能な状態のものをより分けてDVD-R化、そのうちのグループディスカッション場面について談話の文字化資料を作成し、エスノメソドロジーの会話分析の文字化ルールに従って文字化資料を精緻化した。平行して、分析の方法や観点・概念を模索し検討するために、質的研究法、エスノメソドロジー、会話分析、多文化教育、異文化コミュニケーション、協同概念やアイデンティティ概念などについて文献を収集して参照し、会話分析やピアラーニングなどの勉強会に参加して知識を深めた。そして、分析の第一段階として、グループディスカッションの談話文字化資料をエスノメソドロジーのカテゴリー化実践の概念を用いて、参加者の関係性について分析した。成果としては、混成クラスでのディスカッションを進める中で起こる「日本人/外国人」という関係性の下で行われる役割分担について批判的に再考する必要があるという視点を得て、「言語文化と日本語教育研究会」にてポスター発表を行った。
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