2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720131
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
竹本 英代 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (50294484)
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Keywords | 日本語 / 日本語教育 / 宣教師 |
Research Abstract |
18年度は、大正2年に東京外国語学校内に創設された日語学校における日本語教育の実態を創設後の五年間に絞って明らかにした。日語学校については、これまで創設に携わった阪谷芳郎や日語学校関係者の回想が僅かに残っているにすぎず、その実態については全く明らかにされていない。最初の五年をとりあげたのは、その時期が初代校長フランク・ミュラーが在職した時期に相当し、日語学校の基本的な教育体制が解明できると考えたからである。 本研究で実証されたことは、第一に、日語学校における日本語教育には英語教育に携わっていたミュラーの音声学や日本語教授法が色濃く反映されていたことである。日語学校では、ミュラーの指導のもと、朝鮮の『普通学校国語読本』を基本にしたカードを用い、日本語を聞いて話すことを主たる教授法としていた。その教授法は、ニューヨーク聖書教師訓練学校の教師カミングスの理論に影響を受けていた。 第二に、創設当初に予定されていた本科三年という制度は実質的に機能しなかった。日語学校の本科は二年どまりであり、実態に適応するかたちで三年間の通信科が整備された。生徒の出入りが激しく、生徒は所定の期間、学校にとどまることがなかったため定員も当初の予定を充たさず、学校経営の問題から授業料の改訂が行われた。 第三に、日語学校で採用されていた日本語教育課程は、各教派が採用していた連合ミッション会議が推薦する日本語教育課程とは異なるものであった。日語学校では、独自な日本語教育課程で教育が行われ、日語学校で学ぶ生徒たちは、結果的に日語学校の日本語試験と連合ミッション会議の主導する試験の両方を受験しなくてはならなかった。
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