2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720134
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阿瀬見 典昭 神戸大学, 自然科学研究科, COE研究員 (50379484)
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Keywords | 日本語音声 / 習熟度 / 音声探索 / 複数話者 |
Research Abstract |
本研究では,複数話者が存在するような実環境下での外国語音声聴取能力の評価手法を提案することを目的とし,複数音声を同時提示した場合における目標音声検出(聴覚探索課題)の速さと正確さを聴覚心理実験により検討している.本年度は,日本語音声の聴取能力に着目し,日本語音声とその時間反転音声を用いた聴覚探索実験を行った.被験者として,上級および中級の日本語学習者(中国語母語話者)と日本語母語被験者を用い,聴覚探索実験の結果における日本語の習熟度の影響を検討した.聴覚探索実験を行う前に単独音声の識別に関する実験を行い,日本語非母語話者を含めすべての被験者が正確に日本語音声と時間反転音声を識別できることを確認した.日本語で日常会話が可能である上級日本語学習者では,時間反転音声存在下で日本語音声を低い誤り率で検出可能であり,時間反転音声の数の増加によって検出に要する時間が大きく増加する傾向は見られていない.この傾向は,日本語母語話者による聴覚探索実験の結果と類似であった.このことは,日本語非母語話者でも日常生活において日本語での会話に支障をきたさない程度の日本語学習レベルを持っていれば,聴覚探索課題において日本語母語話者と同じ成績が見られることを示唆する.一方,中級日本語学習者の場合,妨害音声の数が4もしくは5と増えた場合,聴覚探索課題の判断誤りが40%を超える,もしくは検出に要する時間が増加するなど探索課題遂行の正確さに劣化が見られた.このことは,日本語学習レベルの低下に応じた聴覚探索課題の成績劣化が現れたことを示し,本研究で提案した複数話者存在下での音声聴取能力評価法が有効である可能性を示唆すると考えられる.本研究で提案する外国語音声聴取能力の評価法を一般化するために,日本語音声だけでなく他の言語に関しても同様の実験を行い,同様の傾向が存在するかを検討する予定である.
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Research Products
(1 results)