2005 Fiscal Year Annual Research Report
コーパスを利用した習熟度別日本人英語学習者のエラー研究
Project/Area Number |
17720137
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
阿部 真理子 高崎経済大学, 経済学部, 講師 (90381425)
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Keywords | 学習者コーパス / エラー分析 / 英語習熟度 / 発達指標 / 日本人英語学習者 / 第二言語習得 / 話し言葉 / 書き言葉 |
Research Abstract |
平成17年度は、既存の日本人英語学習者コーパス3万語分に中学高校の英語教育で扱われる文法項目と語彙に関するエラーのタグを付与したデータベースを完成させた。そして、それを利用した研究発表を3件行なった。 1.まず話し言葉と書き言葉のエラーを発達段階ごとに比較分析した研究を、2005年7月英国バーミンガム大学において開催されたCorpus Linguistics2005にて発表した。研究成果として、学習者の話し言葉と書き言葉のエラーの出現傾向には違いがあり、話し言葉は人称と数の一致、動詞の相、名詞の活用のエラーは習熟度が上がるにつれて減少するが、書き言葉は動詞の時制、動詞に関する語彙、名詞の格のエラーにおいて同様の傾向があることが明らかになった。 2.そして海外のコーパス言語学の専門家が多く参加する学会において、仰ぐことができた評価と意見をもとに、エラータグ付与に当たっての技術的な問題点とタグの分類基準に関する問題点について考察を深めた発表を、2005年11月に独立行政法人情報通信研究機構主催のシンポジウムにて行なった。 3.更に書き言葉に関するエラーの出現傾向について、(1)品詞、(2)表層構造によるエラータイプ(脱落・余剰・誤形成)、(3)学習者レベルという観点から分析した研究を、2005年9月に大学英語教育学会にて行なった。その結果として、品詞ごとに誤・正用法の出現傾向に差異があり、各品詞には結びつきの強いエラータイプがあることが認められた。また正用率が高い品詞は誤形成のエラーと、中高6年間の伸び率が高い品詞は脱落エラーと結びつきが強く、接続詞のみに余剰エラーが比較的多く見られた。さらに、誤形成エラーは学年が上がるにつれて減少する傾向があり、脱落エラーは習得が進むにつれ複雑なパターンをとり、余剰エラーは学習者レベルに差がなく、緩やかに減少する傾向が確認された。
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