2006 Fiscal Year Annual Research Report
コーパスを利用した習熟度別日本人英語学習者のエラー研究
Project/Area Number |
17720137
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
阿部 真理子 高崎経済大学, 経済学部, 講師 (90381425)
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Keywords | 学習者コーパス / エラー分析 / 英語習熟度 / 発達指標 / 日本人英語学習者 / 第二言語習得 / 話し言葉 / 書き言葉 |
Research Abstract |
1.初年度から引き続き平成18年度においても、日本人英語学習である同一の被験者から話し言葉と書き言葉のデータ収集を行い、そのデータベースを完成させた。 2.TALC(Teaching and Learner Corpus)2006年度大会(パリ第7大学、2006年7月2日)にて、研究発表を行った。海外のコーパス言語学専門家が多く参加するこの学会において、統計処理方法、エラーの分類基準、利用する学習者データに関する問題点について考察を深めることが出来た。 3.研究成果は学習者の話し言葉の特徴について、その概観と個々の項目を詳細に記述する論文(Abe,2007a)、及び話し言葉と書き言葉の差異を考察する論文(Abe,2007b)としてまとめた。 4.(Abe,2007a)の結果は、以下の通りである。(1)習熟度の低い学習者は「動詞」、高い学習者は「名詞」に関するエラーと結びつきが強い。(2)学習者が躓きやすい項目は「冠詞」である。(3)「動詞と結びつく前置詞のエラー(Tom's teacher accused him ^*about cheating.)」、「主語と動詞の一致に関するエラー(he ^*like)」、「動詞の相に関するエラー(The people ^*weren't knowing the reality.)」、「名詞の活用に関するエラー(^*childerens)」は自然消滅する。(4)「名詞の単複に関するエラー(many ^*book)」、「名詞の格に関するエラー(my ^*friend house)」、「動詞の形の選択に関するエラー(is ^*drink)」、「動詞の補部に関するエラー(The advertisement makes people ^*to understand.)」には複雑な推移パターンが見られる。 5.(Abe,2007b)の結果は、以下の通りである。(1)品詞ごとに誤・正用法の出現傾向に差異がある。(2)話し言葉、書き言葉双方のレベルが上がるにつれ、「動詞と結びつく前置詞のエラー(Tom's teacher accused him ^*about cheating.)」は減少するが、どのレベルにおいても「冠詞」の誤りは多い。(3)書き言葉では、「動詞の時制に関するエラー(I ^*eat breakfast this morning.)」、「動詞に関する語彙選択のエラー(She ^*is black and short hair.)」、「名詞の格に関するエラー(my ^*friend house)」は減少する傾向にある。(4)エラーと習熟度には一定の相関があるが、項目やモードの違いによりその関係性が変化する。
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