2005 Fiscal Year Annual Research Report
対人コミュニケーション過程の比較文化研究と英語教育教材開発への応用
Project/Area Number |
17720145
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Research Institution | Nanzan Junior College |
Principal Investigator |
森泉 哲 南山短期大学, 英語科, 講師 (60310588)
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Keywords | 自己主張性 / 対人コミュニケーション / 社会的状況 / 面子意識 / 自他意識 / 対人関係 |
Research Abstract |
本研究では、対人コミュニケーション過程を、自己主張性の観点から研究を行った。これまで日本人の対人コミュニケーション方略と対人関係及び自己意識との関連を調査した研究は少なくないが、結果が予想に反することが多々見られた。そこで本研究は、対人関係(親密性と社会的地位)のみが操作されたある特定の対人コミュニケーション場面を記述したヴィニエット(シナリオ)で場面を統制することを通して、対人関係による自己主張性方略の選好とその自他意識との関連を解明することを目的とし、調査・理論研究を行った。具体的には、自己主張性方略、文化的自己観、自己主張性、公的自己意識、面子意識の観点から既存または自作の尺度を使用して日本人大学生198名からデータを収集した。対人関係の自己主張性方略の選好に関しては、親密性と社会的地位を独立変数として各自己主張性方略(強制、服従、回避、妥協、統合)を従属変数とする被験者内デザインによる多変量分散分析を行った。その結果、地位と親密性による主効果だけでなく地位と親密性の組み合わせによる交互作用が一部の方略選好に影響を及ぼしているという結果になった。また自己や他者に対する意識の各対人方略への影響の分析には、各意識(文化的自己観、公的自己意識、自己主張性)を独立変数とする重回帰分析を行い、各方略に対してそれぞれ異なった意識が影響を及ぼすという結果になった。これらのことから、自他意識や対人関係の違いによる各コミュニケーション方略の選好度の違いが明らかとなり、自己・文化特性や相手との関係から適切と判断されるコミュニケーション方略が使用されていることが示唆された。しかし、対人カテゴリーの違いによる主張性の違いや言語表現と心理的構成要素との関係の解明が今後の課題として残された。
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Research Products
(1 results)