2005 Fiscal Year Annual Research Report
湾岸アラブ諸国における「国史」の形成と国民統合に関する基礎研究
Project/Area Number |
17720172
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松尾 昌樹 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (10396616)
|
Keywords | 地域研究 / 社会学 / 民族学 / 東洋史 / オマーン:イギリス / アラブ |
Research Abstract |
1.イギリスでの資料収集・調査(平成17年8月4日から26日) (1)大英図書館インド資料室での調査 主に19世紀後半に英領インド政府が作成したオマーンに関する報告書を収集した。また、オマーンのアラビア語の歴史書の原典も収集した。現時点(平成18年3月)では、英領インド政府が作成した報告書の内容を調査している段階である。オマーンの歴史書に関しては、その原典がこれまでほとんど分析されたことがないため、分析には長い時間が必要となるが、非常に貴重な資料を収集できた点は有意義であり、今後の研究に役立てることが出来ると考えられる。 (2)イギリス公文書館 主にイギリス外務省が1960年代に作成した資料を収集した。収集した中では、イギリス外務省やアラブ連盟が国連でのロビー活動用に作成・頒布したパンフレットが非常に資料価値が高い。これらのパンフレットは今日では入手不可能であり、1960年代のオマーンをめぐる国際的な駆け引きを分析する上で、非常に貴重な資料である。現在はこの資料を分析中である。 2.オマーンでの予備調査(平成17年9月4日から14日) 来年度に現地で本格的な資料収集を行うことを念頭に、オマーンでの資料の残存状況と利用可能状況の調査を行った。国家文化遺産省が刊行する資料の大半を入手した。また同省の刊行物で既に絶版となっているものは複数の図書館で利用可能なことが判明した。一方で、1960年代の内乱が今日のオマーンの国民統合に与えた影響を調査しようとする場合、この内乱がオマーンの国内政治の最大のタブーとなっており、言論統制の対象とされ、研究の上で大きな障害が存在することが明らかとなった。このタブーを研究するためには、オマーン以外のアラブ諸国において資料収集を行うことが効率的であると考えられ、これは来年度の研究計画の作成の参考とする。
|