2005 Fiscal Year Annual Research Report
漢代国家財政の在地社会統御機能の実態とその史的変容
Project/Area Number |
17720175
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20312720)
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Keywords | 張家山漢簡 / 二年律令 / 秦漢財政史 / 土地制度 |
Research Abstract |
本年度は、張家山漢簡「二年律令」の中の「戸律」「田律」等を中心とし、文献では『史記』平準書や『漢書』食貨志、『塩鉄論』などに代表される租税徴収・土地所有の国家管理に関わる史料記述を精読することを中心に研究を進めた。研究開始前においては、「二年律令」田律と1979年発見の青川木牘記載の秦律との比較検討に依拠した秦から前漢初期にかけての土地所有の国家管理の史的変遷についての研究成果を、2005年7月に中国・呼和浩特市で開催された中国秦漢史研究会国際学術検討会で報告することを目標に研究を進めたが、研究に着手してからの期間が短かったこと、史料そのものの理解に困難な点があったこと、参照すべき文献の収集等にも時間が必要であったこと等の理由により、遺憾ながら予定していた時点までには研究成果を公表することが出来なかった。そのため、参照すべき史料・文献等の精読を綿密に進める一方で、少しずつ獲得することができた史料読解の成果については、東北大学漢簡研究会などの席上で口頭で報告を行っている。 史料の精読と並行して、秦漢時代の土地所有のあり方の理解に関する諸研究の調査と読解も進めた。秦から前漢初期にかけての土地所有の国家管理の史的変遷に関連しての、中国の学界での理解の仕方と日本の学界での理解の仕方の差異を明らかにするとともに、その読解の成果を踏まえた自己の知見の確立を進めている。本年度の研究の成果は、次年度中に公表できるように、現在論文執筆の準備を進めているところでもある。
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