2005 Fiscal Year Annual Research Report
北朝隋唐期における仏教教団の宗教活動と中国の国家及び社会に対する影響の研究
Project/Area Number |
17720177
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
高瀬 奈津子 札幌大学, 文化学部, 講師 (00382458)
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Keywords | 中国史 / 仏教社会史 / 石刻学 / 仏教美術 / データベース |
Research Abstract |
本研究は、北朝隋唐期の仏教教団の活動内容を、おもに仏教関連の石刻史料を利用して考察し、教団の中国社会への影響を地域別、時期別に分析、研究することが目的である。そのために、平成17年度の研究計画では、(1)仏教石刻史料の収集・整理とデータ入力、(2)中国での石刻史料調査・情報収集、(3)北朝後期の河北・河南の造営事業を中心に、各地域の教団の活動内容の検討、(4)中国石刻文物研究会や中国仏教石刻をめぐるシンポジウムでの研究報告を行なうことになっていた。研究計画に基づき、平成17年9月と平成18年3月に中国の山東省・河北省・河南省に行き、仏教石刻史料調査と情報収集を実施した。9月の調査で得られた知見については、平成18年3月10日の「東アジア仏教石刻研究セミナー」において、「山東省済南市の龍洞石窟について」という題目で報告した。報告では、石窟の調査結果と共に、北朝後期における山東地方における仏教信仰の特色についても検討した。また、石刻史料収集の過程で得られた8世紀半ばの墓誌銘を用い、平成17年7月9日に明治大学にて行われた中国石刻文物研究会にて「『唐張奉璋墓誌』と安史の乱後の河東節度使の動向について」を発表し、さらにその後得られた石碑を加えて、平成18年1月14日に「安史の乱後における河東節度使の動向-「張奉璋墓誌」と「承天軍城記」を中心に-」というタイトルで、石刻研究セミナー「中国石刻史料をめぐる諸問題」にて発表した。その成果は、「安史の乱における河東節度使の動向-「張奉璋墓誌」と「承天軍城記」を中心に-」という論文にまとめ、『中国石刻資料の諸問題』という論文集に掲載される予定になっている。最後に、仏教石刻史料の整理に関しては、目下、北朝隋唐期の華北東部の造像記を中心にデータ入力を行っている。平成18年度は、随時、データを公表する予定である。
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