2005 Fiscal Year Annual Research Report
低地地方における救貧と外国人法 1750〜1850年
Project/Area Number |
17720187
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大西 吉之 富山大学, 経済学部, 助教授 (80283703)
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Keywords | 近代史 / オランダ、ベルギー / 移住 / データベース |
Research Abstract |
一七年度は主としてロッテルダム(オランダ)と、アントワープ州(ベルギー)を対象に、救貧保証書データおよび関連法令の収集とデータベース化に当たった。作業は現在も続行中であるが、現時点で以下の点が確認できた。 1 オランダとベルギーの救貧制度は、いずれも都市・地方によってまちまちであり、各地の事情に応じた多種多様なものであった。したがって、いくつかの事例を取り上げることで共通の特性のみならず、各地の社会的・経済的背景を浮かび上がらせることができる。 2 一九世紀には一時期、オランダとベルギーが同じ国であったことが影響し,両国の制度はとりわけ同世紀前半において深い関連性を有した。したがって、両国の制度を比較検討することは、単に可能であるばかりか必須の作業といえる(前例はない)。 3 一八世紀ベルギーにおける救貧保証書は、アントワープ州でのみみられた。これはアントワープ市を除く地方的な制度であったらしいことが確認できた。アントワープ市では、アムステルダムと同様に救貧保証書制度を採用していなかった可能性が極めて高い。同市では救貧受給資格の獲得を難しくすることで、貧しいよそ者の定着を防いでいた他、外国の都市とは個別に移民受け入れに関する取り決めをおこなっていた。一九世紀には一八一八年から四五年まで、救貧保証制度がベルギーに導入されているが、それがアントワープにおいて、どの程度実施されていたかは不明で、今後の調査課題となった。
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