2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツにおける国民国家と地域意識の相関関係-比較史的研究
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17720192
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
西山 暁義 共立女子大学, 国際文化学部・先任講師 (80348606)
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Keywords | ナショナリズム / ドイツ / 地域主義 / 郷土 |
Research Abstract |
本年度は研究計画にもあるとおり、初年度である本年度はまず当該テーマにかんする研究動向のフォローと整理を中心に行なった。郷土誌Heimatkunde、あるいは郷土保護Heimatschutzの歴史については、ここ、2,3年ドイツ本国においてもにわかに研究が活発となっている。代表的なものとして東ドイツ時代にかんするWilli Oberkromeの"Deutsche Heimat"や、ナチス時代のザクセン地方を扱ったThomas Schaarschmidtの"Regionalkultur und Diktatur"を挙げることができよう。こうした過去の政治体制との連関におけるアカデミックな歴史学における研究との取り組みとともに、現在のポスト統一・グローバリゼーション時代のドイツ社会の志向の1つとして確認される郷土の再評価にかんして、資料・文献、たとえばニーダー・ザクセン州の郷土同盟による百周年の記念論集(Niedersachsischer Heimatbund (Hg.), Zukunft Heimat Niedersachsen)をはじめとする実際の郷土運動団体自体による刊行物や、その他社会学の関連文献を読み進めることで、「郷土」の概念・機能の変遷を現在までにいたるより長いスパンで把握する必要性について認識した。上記の作業にもとづく研究ノートは来年度(2006年度)公表する予定である。 他方、来年度へ向けての実証的な研究については、個別地方についてはこれまでの研究対象地域であるアルザス地方と同様、当時(帝政期)ドイツの境界・民俗混合地域であるポーゼン地方の郷土誌であるAus dem Posener Lande. Blatter fur Heimatkundeを入手し、郷土誌がドイツ帝国の東と西の境界地域でどのような政治的、社会的機能をもっていたのか、比較分析をはじめているところである。ただし、それを単に国境地域間比較としてだけではなく、連邦制としてのドイツの特質をふまえ、領邦、地方ごとの個別研究の成果を摂取、補完しつつ、ドイツにおける「郷土」のニュアンスについての解明をめざしている。
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Research Products
(1 results)