2005 Fiscal Year Annual Research Report
宗教的逸脱の諸概念にみる一七世紀イングランドの文化変容
Project/Area Number |
17720193
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
那須 敬 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (40338281)
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Keywords | 近世史 / 宗教師 / イギリス / 文化史 |
Research Abstract |
本年度は、関連図書や刊行史料集の収集や情報整理を精力的に行った。またEarly English Books OnlineおよびEnglish Short Title Catalogue等のデータベースを用いて収集した史料や文献情報をデジタル形式で保存し、効率的な検索システムを構築する作業を続けた。 これらのデータの分析を通して、宗教的逸脱をめぐる言説が1640年代の政治的変動と連動する様を具体的に解明することができた。議会、ロンドン市当局やウェストミンスタ神学者会議の史料、当時の神学書や政治パンフレットなどの調査結果もふまえ、研究成果を論文「反寛容の構築」で発表した(12月)。またこの論文では、17世紀イギリス思想史上の成果とされる宗教的「寛容」の批判的な再考も行った。 11月には約2週間の史料調査をイギリス(ロンドン及びヨーク)で行った。主にBritish Library、London Metropolitan Archive、Guildhall Library等の図書館で作業を行った。国内の研究会でも研究経過を報告し、同分野の研究者との意見交換を行うことができた。 調査を通して、1650年代における宗教的・政治的言説の多様性が明らかになってきたので、平成18年度は、思想史・芸術史等との関わりも視野に入れながらさらに幅広い史料調査を継続していきたい。
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