2005 Fiscal Year Annual Research Report
石器石材の物性と亀裂の力学的過程が石器製作に及ぼす影響についての基礎研究
Project/Area Number |
17720197
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高倉 純 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (30344534)
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Keywords | 石器石材 / 物性 / 亀裂 / 力学 / 石器製作 / 考古学 |
Research Abstract |
今年度の研究では、第一に黒曜石の物性値測定に関するデータの集積を進めた。北海道東部に所在する白滝、置戸、十勝三股から産出した黒曜石試料を収集し、一定の条件下で物性値測定を実施した。測定した項目は、ポアソン比、P波速度、S波速度、圧縮強さ、破壊ひずみ、変形係数等である。これらの項目は、破壊力学のモデルをを応用した剥離方法の同定を、北海道内の考古学資料を対象として実施する際に必須のデータとなるものである。次年度も引き続き黒曜石の物性値測定を進めていきたい。 第二に、北海道東部で採集された黒曜石、硬質頁岩やチャートを検討対象として、岩石の内部構造の観察および分析方法の検討を試みた。これまでの岩石学的研究成果を考慮にいれながら、考古学資料を対象とした際に効果的な用語体系・記載方法・記載項目を確立すべく、岩型ごとの特徴の記載を進めていった。また、特徴的な剥離面形態王内部構造との間の相関性についても検討をおこなった。 第三に、剥離具の硬さ、負荷速度、剥離角度といった諸変数をコントロールした剥離実験をおこなうための衝撃試験機の製作を進めた。既存の機械等では実施できないために、今回の研究計画では設計から着手することとなった。次年度は、製作した衝撃実験機を用いて剥離実験をおこない、先にあげた諸変数と剥離された剥片の形態との間の相関関係を検討するとともに、剥離方法ごとの亀裂速度の測定も実施していきたいと考えている。
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