2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの鉛釉陶器-考古資料にみる鉛釉陶器生産と唐三彩の影響
Project/Area Number |
17720210
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
神野 恵 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 奈良文化財研究所・都城発掘調査部, 研究員 (60332194)
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Keywords | 鉛釉陶器 / 唐三彩 / 奈良二彩 / 奈良三彩 |
Research Abstract |
今年度も引き続き、これまで奈良文化財研究所の発掘調査で出土した古代の鉛釉陶器の資料に関する整理とデータベース化をすすめた。西大寺食堂院の井戸SE950や平城宮東院地区などの昨年度の発掘調査で、緑釉陶器や奈良二彩・三彩が多く出土したため、これらの整理作業も継続してすすめるとともに、これまでの発掘調査で出土した奈良三彩・奈良二彩のデータベースを拡充させる目的で、既存の資料についても調査をおこなった。とくに東院と隣接する立地にある法華寺から1977年度の発掘調査で出土した奈良三彩の水瓶、多嘴壺は、長らく法華寺に保管されていたため、詳細な観察ができていなかった資料である。これらを一時的に借用し、実測、観察等をおこない、データベースに追加した。また、今年度は東京国立博物館が所蔵する唐三彩の陶枕資料について、資料の実見・観察および写真撮影をおこなった。これらの資料は発掘出土品ではないが、陶枕の製作技法や意匠を考えるうえで重要な資料である。奈良市大安寺出土の陶枕および中国河南省黄冶窯、陜西省黄堡窯、唐長安城大明宮などで出土した陶枕は、製作技法に6枚の粘土板を組み合わせるタイプ、上下を型作りで中央で接合するタイプ、側面を型作りして枕面と底面を張り合わせるタイプがある。東京国立博物館所蔵の陶枕は、製作技法、意匠などの点で、これらと異なる点もあり、産地によって多様な差異をみせる陶枕の製作技法に、あらたなデータを蓄積することができた。
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