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2007 Fiscal Year Annual Research Report

現代韓国における植民地的遺産の資源化と活魚市場の形成に関する研究

Research Project

Project/Area Number 17720223
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

中野 泰  University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (20323222)

Keywords韓国 / 民俗学 / 漁村 / 活魚市場 / 生活戦略 / 食文化 / 植民地 / 文化資源
Research Abstract

成果は、現在検討中であるが、要点は以下のようにまとめられる。1.韓国全羅南道木浦においては鮮魚販売が中心であり、活魚については、現在においても競売制度は整備されてなく、活魚市場は存在しないと言える。だが、刺身団地では近隣地域から輸送された活魚の販売を行い、特にナクチやオドリと称するイイダコ・エビの生食が顕著である。2.木浦の活魚販売店は、ナクチを中心に通年の販売を行う傾向があり、ナクチ生産の中心地の一つ務安郡は、海岸部が湿地帯であるにも関わらず、その環境の構造的制約を越えてナクチ生産に特化している。3.務安郡で行われる儀礼については、村行事はキリスト教の影響により簡素化されているが、祖先祭祀については現在も良く行われている。4,ナクチの生食は朝鮮時代より行われ、ことわざも少なからず伝承され、身体強壮の意義を有している。ナクチは生食ではないが、古くから祖先祭祀にも供されてきた。エビの生食は、植民地時代に伝えられた漁業法により.捕獲され、オドリという日本語による命名がなされている。5.上記の生食は、現在でも、高価なため、日常ではなく、来客時や飲酒時などの非日常的な場に食される傾向がある。
以上から、韓国における活魚市場の形成は、朝鮮戦争後に進み、南海岸の釜山が先駆け、木浦などの西南海岸、及び、束草市などの東海岸がそれに続いたものと考えられる。生食は、生産者の習俗として古くから行われている。東海岸の発酵食品(シッケ)やイイダコは朝鮮時代に遡る食文化であり、現在も食文化の地域性が明瞭に窺える,活魚市場の形成は、植民地時代にもたらされた日本漁業を支えにしてはいるが、生食が顕著な食習慣となった高度経済成長期以後と認められる。活魚生産に特化した生産者の生業や民俗文化の様相は、観光客に対応した漁民達の生活戦略の賜物と考えられる。

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Published: 2010-02-04   Modified: 2016-04-21  

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