2006 Fiscal Year Annual Research Report
言語的社会化をめぐる養育者-子ども間相互行為に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
17720227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 明 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 助手 (70378826)
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Keywords | サン / 会話 / アセスメント / 乳幼児 / ボツワナ / ナミビア / 社会化 / 文化学習 |
Research Abstract |
本研究では,大人の言語的働きかけに対する子どもの応答に注目し,子どもの応答に対して大人が言語的・非言語的にどのようなアセスメントを行っているのかを検討している.その結果,サンの養育者は「呼びかけ」「遊び」といった行為によって乳児の応答を引き出そうとすること,「非難」「打ち切り」といったアセスメントによって乳児の行為を相互行為における規範に従うように方向付けていることがわかってきた.本年度は引き続き,サンで明らかになった特徴について米国や日本のデータとの比較・検討を行った. また研究成果の一部をまとめ,8月に日本発達心理学会2006年度国際ワークショップ「対人関係における変化の過程」において研究発表およびこれらに参加する研究者と研究打合わせを行った.また本課題を進めていく上では,会話分析の分析概念を十分に習得した上で多くのデータからいくつかのパターンを見出す作業を繰り返さねばならない.この作業のため,8月に2006 CA Summer Workshop at MGUに参加し,研究発表を行った.さらに明治学院大学にて会話分析に関する資料収集も行った. 2月には相互行為論,会話分析研究,言語的社会化研究の世界的研究拠点であるThe UCLA Center for Language, Interaction, and Cultureにおいて開催されたThe CLIC Symposium on Language Socialization, Interaction & Cultureで研究発表を行った.また同センターにおいて,言語的社会化および子ども間相互行為に関する資料収集および来年度の研究計画について打ち合わせを行った.この滞在を通じて,世界各国で関連する研究を進めている第1線の研究者と議論を行い,今後の研究方針,すなわち責任(responsibility)の基礎を相互行為における応答可能性(ability of response)に求め,様々な文化において養育者と乳幼児がそれぞれ相互行為における適切な応答に習熟していく道筋を明らかにすることで文化学習(Tomasello,1999)が成り立つ仕組みを再考する,という研究方針に達した. 2-3月にかけては,申請者がこれまで調査を進めてきたボツワナ共和国ハンシー地域において,グイ/ガナの養育者-子ども(おもに0〜3歳児)間の相互行為に関する資料を収集した.
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Research Products
(2 results)