2005 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄本島北部地域における祝儀舞踊「七福神」の成立・受容過程に関する民俗学的研究
Project/Area Number |
17720230
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鈴木 寛之 熊本大学, 文学部, 助教授 (00305179)
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Keywords | 七福神 / 民俗芸能 / 沖縄芝居 / 豊年祭 / 玉城金三 / 民俗学 / チョンダラー / 琉球舞踊 |
Research Abstract |
沖縄本島北部地域において豊年祭の際に演じられる民俗芸能/祝儀舞踊「七福神」の実態を調査・記録するために、平成17年度は大宜味村謝名城、名護市の呉我、真喜屋、稲嶺、屋部、城の各集落において豊年祭の現地調査を行なった。引き続き18年度には残りの集落に訪れ、芸態の一通りの記録を終える見込みである。 聞き取り調査の場では、いずれの集落においても「七福神」を創作・伝授した人物として明治末期〜昭和初期に活躍した名護在住の金細工師・玉城金三氏の名が挙がった。氏は沖縄本島北部の諸地域において「七福神」のみならず「鶴亀」「松竹梅」「平和」など多数の舞踊を指導してあるき、同じ演目でも集落ごとに踊りの所作に変化をつけるなどの工夫をしてあるいた。沖縄における「最後のチョンダラー(=「京太郎」。放浪芸能者の意)」と称する研究者もいる玉城金三氏は、青年期に首里の寒水川芝居で役者として活動した後名護に移住し、当地では仕事の傍ら群倉芝居で活躍したと伝えられるが、その経歴には未詳の部分が多く、18年度はさらに追究を行なう計画である。 また沖縄において「七福神」の演目自体は、必ずしも玉城氏の独創ではなく、沖縄芝居史上に大きな足跡を残した渡嘉敷守良に同じ演目がある。新聞資料等をもとに、明治から大正期にかけての首里那覇の劇場・芝居小屋の興行の実態も明らかにしていく必要がある。 近代になって成立した「七福神」の演目が民俗芸能として定着するまでの選程と、玉城金三氏を現在の人々がどのように語っているのかを現地調査をもとに解明し、民俗芸能の近代性について18年度はさらに追究を行なう計画である。
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