2006 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおけるろう教育の形成史とその影響に関する応用人類学的研究
Project/Area Number |
17720232
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
亀井 伸孝 関西学院大学, 社会学研究科, COE特任助教授 (50388724)
|
Keywords | アフリカ / ろう教育 / 文化人類学 / 応用人類学 / 手話 / ナイジェリア / アメリカ手話 / キリスト教ミッション |
Research Abstract |
本研究は、文化人類学的手法によるアフリカ現地調査に基づき、この地域のろう教育の形成史とその影響の全容を世界で初めて明らかにするとともに、ろう者のための教育開発に関する新たな提言を行うことを目的とする。2006年度は、西アフリカのナイジェリアにおけるろう教育とその歴史の概要を把握する調査を中心に研究が進められた。 2006年8月-9月に、ナイジェリアのラゴス市およびイバダン市において現地調査を行った。現地のろう者団体の協力のもと、ろう者およびろう教育関係者に対するインタビュー、文献資料収集、手話のビデオ収録などを行った。とくに、本研究で注目している、アフリカ13力国でろう教育事業を展開した「ろう者のためのキリスト教ミッション(CAD)」がイバダン市に本部を置いていることから、この団体の協力を得た調査を重点的に行った。 ナイジェリア現地調査の主な成果は次の通りである。(1)CMDの本部に保管されていた大量の古い文献資料を発見し、一部の分類、整理を行った。(2)同本部に保管されていた大量の古い写真を発見し、一部の分類、整理を行った。(3)1960年代からろう教育事業に関わりをもってきた高齢のろう者や教育者らとのインタビューを行い、ナイジェリアおよび近隣諸国のろう教育と手話言語の成立史の一端を明らかにした。(4)ナイジェリアのろう者と手話の歴史に関わる書籍を複数入手した。(5)ナイジェリア手話の会話のビデオ撮影を行い、言語学的分析のためのデータを得た。 今年度の成果公開としては、単著『アフリカのろう者と手話の歴史』(明石書店、2006)、分担執筆著書『アフリカの医療・障害・ジェンダー』(晃洋書房、2007)が出版された。また、ノルウェーのオスロ大学で開催されたアフリカ言語・教育会議に参加し、発表を行った。この他、2件の論文集の分担執筆、11件の雑誌論文執筆、4件の国内学会発表を行った。
|
Research Products
(15 results)