2005 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における魚つき林をテーマとする環境教育の実践に関する民俗学的基礎研究
Project/Area Number |
17720236
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
會田 理人 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (20370223)
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Keywords | 魚つき林 / 植樹運動 / 水産業 / 民俗事例 |
Research Abstract |
平成17年度は北海道立文書館、北海道大学附属図書館、信漁連・漁連図書資料室において資料調査を実施し、北海道内における魚つき林制度の概略を再整理するとともに、北海道内における以下の植樹運動について調査を行った。(1)えりも岬国有林緑化事業(えりも町)。(2)北海道漁業協同組合連合会女性部による「お魚殖やす植樹運動」(乙部町、江差町、せたな町大成区、利尻町、利尻富士町)。(3)「北の魚つきの森」認定事業(乙部町、石狩市浜益区、蘭越町)。(4)「松前・離島小島を愛する会」の活動(松前町)。主として道内の日本海沿岸地域の植樹運動の実践事例を調査し、運動開始の背景や現在の活動状況、沿岸環境・水産資源・人間活動の結び付きに関する基礎的情報を記録した。森林法により指定された「魚つき保安林」の復元を目指した植樹運動(えりも町)も含め、森と海とのつながりや環境・生態系をキーワードとした「魚つき林」育成を目指す植樹運動が展開されていることを確認した。 上記の植樹運動開始の背景を以下のようにまとめることができる。(1)過去において、森林伐採という人為的理由により地元の海や沿岸域の環境が変化し、その変化が人びとの日常生活に少なからぬ影響を及ぼしてきたという事実を受けて、地元住民が植樹運動を開始(えりも岬、松前町小島)。(2)生産・生活の場としての海を理解すること、植樹の実践と沿岸環境・資源の回復を結びつけて理解することを狙いとして植樹を開始(漁協女性部の運動)。(3)行政機関主導で地元住民を取り込んで運動を開始(「北の魚つきの森認定事業」)。
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