2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国における「民主」と「憲政」の展望-制度改革に見る「上から」と「下から」の動き
Project/Area Number |
17730008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
但見 亮 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (20367121)
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Keywords | 中国 / 憲法 / 民主 / 法治 / 制度改革 / 司法 |
Research Abstract |
本年度は、まず中国の所謂「憲政」制度の構造について、その理論構造を整理し現状の把握を行うべく、憲法における「民主」と「法治」に関する理論的考察を行った。その成果として、公権力とそれを担う人員に対する制約及び監視の権限を定める「監督制度」に関する論文を発表しており、同論文において、「監督」の規定及び実態の分析に基づいて議会と党の権限及び位置づけを明らかにし、もって憲法に予定される権力構造の暇疵及び虚偽というべき問題を指摘することができた。 次に、次年度に予定する実地調査の準備として、裁判官や学者等とコンタクトをとり、傍聴や訴訟の実情に関する調査への協力をお願いした。具体的には、本年度は科研費により一回、また私費などにより二回訪中し、まず憲法訴訟に積極的に参加している上海交通大学の周偉教授との面識を得て、憲法訴訟についてのお話をうかがうとともに、同氏の行う訴訟に関する資料の提供と実地調査の約束を頂いた。また、同時に日本の憲法学者及び実務家との交流についても依頼を受けている。 実務家については、上海第二中級裁判所の王智剛裁判官に現地の裁判手続について細かくご教示いただくとともに、実際に裁判の傍聴をさせていただいた。さらに、次年度に長期の滞在調査を行うことの許可を得ることができ、同氏が裁判長を担当する事件について傍聴した上で、疑問点について審理後に質疑応答の機会を頂けることになった。このほかにも、上海高級裁判所人事処副処長の孫磊氏とも面会し、上海市の虹口区、嘉定区の各裁判所副所長らとともに、中国の裁判所及び裁判官が現在直面する問題、特に行政機関との関係や裁判官の地位及び処遇、そして担当事件の量・質の変化による過剰な責任負担、といった問題について討議を行うとともに、今後の研究への協力をお願いしている。
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Research Products
(1 results)