2005 Fiscal Year Annual Research Report
契約の経済理論の財政法学への導入による財政民主主義原則の再構成
Project/Area Number |
17730011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤谷 武史 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90313056)
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Keywords | 公法学 / 財政学 |
Research Abstract |
今年度の研究成果は、以下の三点にまとめられる。まず、(1)「財政民主主義原則の再構成」に向けて、問題意識の一層の明確化を行うために、従来の財政法の業績の渉猟と考察を行なった。また、(2)自治体破産や公的事業への民間資金導入など、新しい財政法学を構築する足場となるべき具体的な問題についての基礎的な情報収集と考察を行なった。その上で、(3)契約の経済理論の財政法学への応用可能性を探りつつ、近時のアメリカにおける財政法学(およびその隣接領域)の研究動向の調査を行なった。 このうち、(1)に関する成果としては、「財政活動の実体法的把握のための覚書(一)」(国家学会雑誌119巻3・4号(2006年4月刊行予定)に掲載予定)を執筆したことがあげられる。この論文は、従来の財政法学が中心的価値としてきた「財政民主主義」について、その重要性をいささかも減ずることなく、さらに有益な思考枠組とするために、「実質化」されるべきこと、およびその方向性について論じている。とはいえ、未だ試論的な段階に留まる部分が多く、より具体的な「財政活動の実体法的把握」の展開については、次年度の研究成果が待たれるところである。(2)については、既存文献の収集からいくつかの興味深い成果を得たものの、それのみでは限界を感じつつあり、素材を一つないし二つに絞った上でのフイールドワークをも含めた踏み込んだ研究を次年度の課題として検討しているところである。最後に、(3)については、成果の一環として書評論文を執筆しており(「アメリカ法」2005-2号)、近日中に公表される予定である。
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