2005 Fiscal Year Annual Research Report
コスモポリタン法の生成と国法秩序の変容:国法学による国際法学と憲法学との架橋
Project/Area Number |
17730014
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
佐藤 義明 広島市立大学, 付置研究所, 助手 (00361634)
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Keywords | コスモポリタン法 / 国法学 / 国際法 / 憲法 / 主権 / テロリズム / 地域主義 / トランスガヴァメンタル・ロー |
Research Abstract |
カントが『永遠平和のために』において提唱したコスモポリタン法の概念について、近年再評価しているメアリ・カルドーらの業績をリサーチし、現在におけるコスモポリタン法概念をめぐる知の見取り図を描いた。それは、国際法学でいえば、アン=マリ・スロータによる「行政庁間法」の提唱などとも呼応するものであることが、憲法学で言えば、とりわけ欧州連合をめぐる議論の中で取り扱われているものであることが確認された。本年度は、とりわけ、欧米各国でテロリズム抑止というそれ自体は正統であるとされる政策目的の国際協力による追求と、その具体的な手段による人権の制約または侵害が問題となっていることから、ウィルトン・パーク・カンファレンスに出席して、国際法と憲法、さらには国内の刑法や行政法など多岐に亘る法分野を動員して、国際機関や国家や私企業や個人によってそれぞれの立場から対処されるべき問題として、テロリズムに係わる法のあり方について、合衆国などのテロリズム対策の責任者、デンマークなどの国会議員、そしてフランスなどの大学教授らと意見を交換した。その成果なども踏まえて、国際法学会東西合同研究会において、「国際法へのコモン・ロー法律家的アプロウチと9・11後のアラカルト多国間主義」と題して報告した。また、東京大学社会科学研究所スタッフ・セミナーにおいて、「コスモポリタン法形成過程における国際司法裁判所の機能」と題して報告した。なお、同研究所のCREP(地域主義比較研究プロジェクト)月例公開セミナーにおける「国家主権と地域主義」ミニシンポジウムのパネリストとしての「NAFTAの合衆国憲法適合性:法化における"precision"と"delegation"」と題する報告も国家主権と緊張関係に立つコスモポリタン法的要素に注目したものである。
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