2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730015
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊藤 嘉規 富山大学, 経済学部, 助教授 (70345552)
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Keywords | 憲法 / 租税法 / 職業の自由 / 担税力原理 |
Research Abstract |
ドイツの学説で唱えられている「租税国家」における具体的な権利救済のあり様、すなわち担税力原理の概念を検討し、課税の下限として生じる生存最低限という考え方を、税収目的の憲法適合性審査ばかりではなく、社会保険料やいわゆる「環境税」等の賦課目的の憲法適合性審査にも生かせないのかという点を、ドイツの判例(決定)・学説の分析から明らかにしようと試みた。その分析した中からとりわけ、担税力を有しているからといって本当に課税してよいものかを検討する上で不可欠な、課税の正当化根拠としての職業(選択)の自由について、理論的な検討を加え、嚮導目的の課税といえども、課税できない部分はあるのではないのか、国家が自由に課税物件を選択することができるといっても、許されない部分もあるのではないのかという観点から論じようと試みている。現在職業の自由と課税限度という観点から担税力原理の概念のあり様を探り、早急に論文という形で発表出来るよう、鋭意努力中である。 その際研究していて感じたことは、課税の下限といった考え方にさらにプラスして存在すると考えられる課税の上限(例えば『五公五民原則』)といった考え方を精査しないと、その延長線上にあると思われる社会保険料(例えば介護保険料等)の賦課に関して、違憲と判断したドイツ連邦憲法裁判所の判例(決定)や、「様々な負担金」を総合的に考察した憲法適合性審査のあり様を示すのは、難しいという点である。よって課税の上限と下限に関しての憲法論の精緻に全力を上げる必要があると考えている。 また、平成18年度以降の年金課税及び介護保険、社会保障全般について、担税力原理の分析に基づいて論じるため、本研究に関連するドイツの制度・判例・学説についての資料を収集し、また同時に、日本における社会保障についての現状について分析するための資料収集を精力的に行った。
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