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2007 Fiscal Year Annual Research Report

様々な負担金に対する憲法論的検討

Research Project

Project/Area Number 17730015
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

伊藤 嘉規  University of Toyama, 経済学部, 准教授 (70345552)

Keywords憲法 / 租税法 / 課税最低限 / 社会保障法 / 担税力原理 / 社会保険料負担
Research Abstract

本研究のテーマは、「様々な負担金に対する憲法論的検討」である。なぜそういう着想に至ったかというと,今後の高齢化社会の進行によって,益々社会保険料等の負担の上昇が見込まれ,それが個人に対する負担の増加にはね返ってくることが十分に想定される。しかしながら,例えば税の観点から,各種社会保険料の観点から検討がなされることはあっても,総体的な検討,すなわち社会システム全体からの検討がなされることはなかった。それらの問題を,税負担の視点・各種社会保障負担の視点からの検討を手がかりとして,個人に対する国家による金銭負担に関する制度横断的な検討を行うことが,本研究の目的である。
本年度は,ドイツの学説で唱えられている担税力原理の概念・課税の下限として生じる生存最低限という考え方を,税収確保目的の憲法適合性審査ばかりではなく,社会保険料やいわゆる「環境税」等の税収確保目的とは違う目的をもつものに対する憲法適合性審査に生かせないのかという点を試みるため,介護保険料賦課処分と憲法14・25条が争いになった最高裁判決を題材として取り上げ,生存最低限という考え方を社会保険料負担に関して適用可能か否かを探り,様々な負担金に対する憲法適合性審査の一端として,富大経済論集53巻2号(2007年11月)に公表した。その中では,社会保険の一種としての介護保険料徴収に関しては,介護保険料を徴収されることによって生活保護基準以下の金額しか手許に残らない者は,国家が何らかの配慮を示すべきものであって;それとは逆に,生活保護基準以下の金額しか手許に残らない,且つ国家が自らこれ以下の収入の者には税を徴収しないと決めた(この点で立法者の判断を尊重している)者に対し介護保険料を徴収することは,「国民共同連帯」という名の下に財産権に対する過度の介入を正当化できるものではない。低所得者に対する不足保険料を補助しているのが公費負担である(勿論それだけに限られる訳ではないが)と考えるならば,負担させるべきではない者からの徴収はできない性質のものである。よって,本来賦課できない者から徴収しており,賦課徴収の強制の度合いのほか,仮に社会保険としての介護保険の目的,特質等をも考慮して判断したとしても,徴収の度合いが強いと考えられる。立法者が収入から税を徴収しないと決めた市町村民税非課税者であるのにも拘らず,その立法者が判断したことと,介護保険料を上記の者から徴収するのは明らかに矛盾したものであり,恒常的低所得者からの保険料徴収は正当化できないものであると論じた。このように社会保険料等の負担に関して,担税力原理の概念で論じたものは殆どなく,社会保障法と租税法両分野の架橋の一手段として本研究の意義は相当程度あると考えられる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2007 Other

All Journal Article (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 生活保護基準以下の収入しかなく,住民税が非課税である等,一定の低所得者に関し,介護保険料を一律に賦課しないとする規定を設けていないことは,憲法14条,25条に反せず,また介護保険料を特別徴収の方法によって徴収することは,憲法14条,25条に違反しないとされた事例-旭川市介護保険料訴訟上告審判決2007

    • Author(s)
      伊藤 嘉規
    • Journal Title

      富大経済論集 53・2

      Pages: 285-318

  • [Remarks]

    • URL

      http://hdl.handle.net/10110/1819

URL: 

Published: 2010-02-04   Modified: 2016-04-21  

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