2005 Fiscal Year Annual Research Report
土地・都市法理論の再構成の試み-米国における土地所有権論の歴史的展開に照らして
Project/Area Number |
17730024
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
福永 実 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (10386526)
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Keywords | 財産権 / 公物法 / 土地法 |
Research Abstract |
初年度(二年計画)は研究計画どおりわが国土地法学の現状認識に努めることとし、主に景観法分野と公物法分野を対象とした。景観法分野は近年まで充実した制定法が存在せず、私有地規制と公有地規制の両者の対応関係を理論的に考察する上で有意義な分野であり、その成果の一部は「地域の景観を保護する」重森曉・藤本高志・森詩恵編『新地域政策のすすめ』(法律文化社、2006年)に掲載された。公物法分野については、行政法学における対財産規制法体系を考察する上で原初的理論体系があると考え、とりわけ公物の理論上の成立要件とされるものの再検討を行った。成果としては判例研究として「いわゆる公図上の国有里道について、黙示の公用廃止がされたものとして、取得時効の成立が認められた事例(大阪高判平成15年6月24日判例時報1843号77頁)」を平成17年11月に行政判例研究会にて報告し、また現在「道路供用開始(最高裁昭和44年12月4日民集23巻12号2407頁)」(小早川光郎・宇賀克也・交告尚史編『行政判例百選I(第五版)』(有斐閣、2006年)及び「無願埋立地の時効取得が肯定された事例(最判平成17年12月16日判例集未搭載)」法令解説資料総覧掲載予定をそれぞれ校正作業中である。日本法の現状認識に続いて、二年目の現在はアメリカ公物法の研究に着手しており、とりわけその理論的支柱である公共信託理論の歴史的成立背景、及び公物の時効取得の問題に焦点を当てている。
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