2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
森 肇志 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (90292747)
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Keywords | 武力不行使原則 / 国際連合憲章 / 自衛権 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代国際法における「自衛権」概念を再構成することによって、その意味を明らかにし、その成果を国際的に問うことにある。 本研究の2年目である本年度は、第二次世界大戦以降の国家実行およびそれに関する国際連合諸機関における議論等の検討に着手した。その中でも、非国家的行為体に対する「自衛権」の行使という問題に焦点を当てることとした。この点は、2001年9月11日のいわゆる「米国同時多発テロ」に対して米国等が行った「報復攻撃」にも関わるものであり、その国際法上の合法性について、見解が分かれている。この点に関する第二次世界大戦後の実行は、非国家的行為体に対する自衛権の行使の主張が非難されたケースがある一方で、こうした越境軍事活動は、近時においても各地で行われている。こうした相違に着目して分析を進めた結果、そうした主張が非難されたケースにおいて問題となる非国家的行為体が民族自決権の行使主体であるのに対し、近年の事例においてはそうした位置づけがなされず、単にテロリスト集団として、それらの集団の行動自体が非難の対象となっているというコントラストが見られた。この点について、2006年5月の世界法学会において報告した。 本報告の準備を通じ、あらためてこうした問題を中心として国際連合憲章の制定過程を再検討する必要を痛感した。そのため、米国における憲章制定過程を明らかにするため、米国公文書館で資料を渉猟し、「武力不行使原則の定立と治安確保型自衛権の位置づけ」としてまとめた。本年発行予定の世界法学会の学会誌「世界法年報」に掲載される予定である。
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