2005 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア地域を中心とする自由貿易協定の展開と国内法制度の再構築
Project/Area Number |
17730034
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岩瀬 真央美 兵庫県立大学, 経済学部, 助教授 (20360331)
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Keywords | 国際経済法 / 自由貿易協定 / 知的財産法 / ベトナム |
Research Abstract |
国内において資料収集と文献調査を行うと供に、東南アジナ地域における知的財産法制度に関する調査として、ベトナムにおいて資料収集と聞き取り調査を実施した。本年度はこれに平行して、伝統的知識の保護に関連するベトナムの法制度の整備状況に関する文献調査及び実態調査結果の電子化を行い、データベース構築の準備を進めた。具体的な内容は下記の通りである。 1.資料収集・文献調査、実態調査 (1)自由貿易協定集・知的財産法令集・ベトナム官報の収集 (2)伝統的知識に関する国内外の文献調査 (3)知的財産法制度を中心とするベトナムにおける法整備の状況に関する文献調査及び聞き取り調査 2.文献調査・現地調査の結果・分析 文献調査及びベトナムでの聞き取り調査の結果、文化的・社会的地域性が、国内の法制度・司法制度に強く影響していることが明らかになった。ベトナムは、米国との二国間通商協定締結やWTO加盟に向けて、知的財産法制度を含めて国内法制度改革に迫られている。そのため「国際的」又は「西洋的」法制度が整備された状況にあるが、その執行段階では「ベトナム特有の」考え方が強く影響している。ベトナム社会では、儒教的(アジア的)な思考・ホーチミン思想・社会主義的思想等が大きな影響力を持ち、司法の場において法規の「解釈」は行われない。知的財産法を含めた基本法が実務上「適用」されるためには、各監督官庁による施行細則の公布を待たなければならない。ベトナムでは、「西洋的な」法制度が「ベトナム特有の」考え方に基づいて運用されているといえる。本プロジェクトの研究対象である「伝統的知識」が文化的・社会的に形成されるものであることから、これに関連する知的財産法制度の分析は、法制度それ自体だけでなくその運用の面からも同時に検討することが重要となる。 3.データベース構築の準備 収集資料及び分析結果のデータ入力を行う。
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