2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水町 勇一郎 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (20239255)
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Keywords | 労働法 / フランス:アメリカ / 構造的アプローチ / 法の手続化 |
Research Abstract |
平成17年度には、従来から継続して研究してきたアメリカの労働法制の歴史的動態と論理的動向をまとめ、そのなかで「構造的アプローチ」の歴史的・理論的意義を明らかにした『集団の再生』(有斐閣)を出版・公表した。この研究成果により、アメリカにおける経済学、人事管理、労使関係と法との関係が動態的に明らかにされ、比較研究の基盤が築かれた。 また、フランスに短期間出張し、文献・資料を渉猟するとともに、研究者、企業や労働組合の人事労務担当者等へのインタビューを行った。これによって、フランスにおける「法の手続化」の動向や運用実態がかなりの程度明らかになった。これを更に精査に分析・考察することによって、哲学や労使関係と法の関係を動態的に明らかにし、比較研究の素材を提供することが今後の課題である。 さらに、日本の労働法制や社会のあり方に関する文献・資料を現在渉猟中であり、これらの分析・考察を通じて、未だ十分にはなされていない日本の労働法制の歴史的基盤研究を行うことも今後に残された課題である。 現在、日本労働法の基盤研究のための文献・資料収集とともに、フランス、アメリカ等と日本の労働法制の比較研究、これらの法制の哲学、社会学、経済学、人事管理、労使関係等の観点からの複眼的・総合的研究も並行して進めている。これらの成果を有機的に結びつけることによって、これまでにない労働法制の比較研究が可能となる。 これらの作業を引き続き精力的にとりおこない、社会の変化に対応しうる新しい労働法制のモデルとなる「手続的・構造的アプローチ」理論を提示することが、今後2年の研究に残された課題である。
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