2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会はなぜ「高齢」を支援するのか(2) -日米比較にみる高齢者保護の根拠
Project/Area Number |
17730037
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
関 ふ佐子 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 助教授 (30344526)
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Keywords | 社会保障 / 社会保障法 / 高齢者 / メディケア / アメリカ / 医療 / 介護 / 日米比較 |
Research Abstract |
本研究では、日米の社会保障制度の検証から、貧窮や障害といったニーズのみならず、「高齢」、すなわち一定年齢以上であることを理由に高齢者を特別に支援する根拠を探った。 本年度は、アメリカ高齢者法の研究状況と実情について、第一次資料を収集・整理するとともに、平成18年3月に渡米し、本研究課題に詳しい研究者や実務家にインタビューを行った。ピッツバーグ大学では、高齢者法の大家であるLawrence A.Frolik教授と、アメリカの社会保障制度が高齢者のみを特別に支援する根拠について意見交換するとともに、メディケアを含む高齢者法の最新動向について情報収集した。この意見交換の成果をうけて、他の研究者も加えて、より時間をかけて高齢者法について討議する機会を今後設けることとなった。次にカリフォルニア州では、退職者コミュニティーであるPilgrim VillageとKeiro Retirement Homeにおいて、高齢者の生活の実情を調査した。これにより、同じ信念をもつ者、または同じ文化的背景をもつ者が一緒に老後を過ごすことや高齢者のみでコミュニティーを形成することの是非、高齢者の生活の特性などを検証することができた。 高齢保障をめぐるわが国の課題については、高齢者法の視角から検証していくために、在職老齢年金制度、介護保険改革にみる高齢者と障害者の相違点などに関して、資料を収集・整理・分析した。 平成17年7月には、それまでの日米比較研究の成果を、高齢化の課題を学際的に研究する学会として著名な、International Academy of Law and Mental Healthの主催する、"29^<th> International Congress on Law and Mental Health"(フランスで開催)で発表した。各国の研究者との共同セッションにおいて、痴呆の高齢者がかかえる問題の国際比較を行った。
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