2005 Fiscal Year Annual Research Report
垂直・混合型企業結合の規制基準に関する理論的・比較法的研究
Project/Area Number |
17730041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 秀弥 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (30364037)
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Keywords | 独占禁止法 / 企業結合規制 / 垂直合併 / 混合合併 |
Research Abstract |
平成17年度の研究実績の概要は以下の通りである。 本研究では、混合合併規制の根拠と規制基準について、いくつかの視点を挙げて、垂直・混合合併の規制の正当化と規制基準の検討を試みた。その成果の一部は次頁の研究成果に記載してある。本年度は、垂直・混合合併規制の規制根拠をめぐる原理的視座の検討を中心に研究を進めた。なんとなればその検討を抜きにしては、あるべき規制の方向性を想定するのは困難であると思われるからである。次年度は、17年度の研究成果を踏まえて、垂直・混合合併規制の具体的な規制基準の構築に研究を進める予定である。17年度の研究の結果得た結論は以下の通りである。 垂直・混合合併は,水平合併と比べて効率性の向上をもたらす余地が大きく,より競争促進的な側面を有する一方,水平型企業結合にはない市場閉鎖等の競争制限的な側面を有する可能性があり,かつてシカゴ学派が前提としていたように一律に競争促進的であるとも、また米国の立法者が懸念していたように一律に競争制限的であるともいえない。その意味では、個々の事案ごとに、合理の原則により判断されるべきものである。すなわち、画定された市場において市場支配力の形成・維持・強化が生じうるかどうかの観点から、(1)当該合併の結果,結合企業が市場閉鎖を行い,競争者の費用が上昇する蓋然性が高まるか、(2)競争者の費用が上昇する結果,結合企業の価格支配力が高まり商品価格の上昇が見込まれるか、(3)企業結合による効率性の効果によって,価格上昇の悪影響が緩和されるか、といった点を実証研究や経済理論の知見を駆使して分析していくことが必要である。その意味で、水平合併の分析と異なるところはないし、(1)(2)(3)の判断に当たっては,水平型企業結合の審査で用いられるような考慮要因について検討することが必要である。
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