2005 Fiscal Year Annual Research Report
被疑者取調べ過程の立証方法-その現状とあるべき姿-
Project/Area Number |
17730045
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 隆之 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (30242069)
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Keywords | 被疑者の取調べ / 自白の任意性 / 取調べの可視化 |
Research Abstract |
本研究は、従来、水掛け論に陥り易いとされてきた自白の任意性をめぐる争いを適切に解決するための方策を、諸外国の経験や実績に学びつつ、法理論的および法政策的見地から検討しようとするものである。 本年度は、膠着しているようにみえる、取調べ過程の立証をめぐる議論状況を正確に把握するため、自白の任意性に関する審理手続の現状につき、実務法曹と意見交換する機会を設けたほか、収集した関係文献資料を手掛かりとして、その改善に資すると考えられる手段につき、検討を加えた。 まず、以前より提案されている、取調べ状況の録画・録音は、捜査官の発問の方法・内容や被疑者の応答の変遷を含めた取調べ過程の検証に当たって、最良の資料を提供するが、その導入に対しては、捜査実務家から、事案の真相解明に著しい困難を来すという、強い反対がある。ただ、そこで指摘される、取調べ状況を録画・録音することから生じる弊害は、抽象的なものにとどまっているようにも思われるため、その内容・範囲について再検証を行い、被疑者や事件の特性に応じた取調べ状況可視化の方策を探ることの重要性を確認した。 また、近時導入された、取調べの書面による記録制度は、その記載事項に係る争いの解消、さらに、取調べの適正化への歩みを進めるものと評価できるが、その対象は身柄拘束中の被疑者取調べに限定されている。本年度公刊した「在宅被疑者の取調べとその限界(二)」では、在宅被疑者の取調べにおいても、被疑者の同意の有効性や供述の任意性の立証が重要な問題となり得ることを念頭に置きつつ、その判断に際して着目すべき事項を摘示することに努めた。
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Research Products
(1 results)