2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730046
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
金澤 真理 山形大学, 人文学部, 助教授 (10302283)
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Keywords | 既遂 / 未遂 / 予備 / 実行の着手 / 中止未遂 |
Research Abstract |
各犯罪における法益の侵害構造を分析し、既遂結果発生の危険の発生及び消滅という観点から犯罪の時系列的発展段階及びその完成形態を理論的に考察するため、本年度はまず、比較法的考察の素材となるヨーロッパ諸国の体系書、立法資料等を収集することに努め、ドイツのマックス・プランク外国刑法、国際刑法研究所において、ドイツ各ラントの立法、裁判資料に加えて、諸外国の文献資料を収集することができた。また、フライブルク大学刑法・法理論研究所においては、所長のヴォルフガング・フリッシュ教授との意見交換により、研究上有益な示唆を得た。 犯罪を時系列的に観察した場合、実行の着手により発生した既遂結果発生の危険が結果へと転じることで消滅する場合、そもそも結果へと至ることなく消滅する場合、及び、行為者自身の意思若しくは外部的事情に基づく障碍によって危険が消滅させられる場合とが区分される。今年度は、そのうち、いわゆる終了未遂の段階の危険消滅行為について、部分的にその成果をまとめた。即ち、行為者が行為に対する支配を緩和し、他人が介在し得る状態に置いた場合でも、既遂結果発生の危険を行為者が主体的に支配し、その危険を消滅したと言い得る場合には、未遂の可罰性の評価が変更され得るため、法所定の中止未遂の効果が認められ得ることを論証したものである(「積極的結果防止行為と結果防止へ向けた真摯な努力」山形大学紀要(社会科学)36巻2号掲載)。
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Research Products
(1 results)