2005 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット上の青少年に有害な情報の法的規制に関する研究
Project/Area Number |
17730052
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
永井 善之 大阪経済法科大学, 法学部, 講師 (50388609)
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Keywords | 刑事法学 / 憲法学 / 表現の自由 / インターネット / アメリカ法 / サイバー法 / 青少年保護育成条例 / 有害表現規制 |
Research Abstract |
インターネット(以下「ネット」)の技術特性、即ち、情報の送り手と受け手の非対面性、一定の情報を一定の受け手のみに受信させる受信者選別技術の実効性の低さやその多大な経済的負担に伴う表現活動への萎縮的効果、そのグローバル性ゆえの当該国家内のみの発信者規制の非効率性などのゆえ、有害表現への法的規制、即ち、なお表現の自由保障を享受するためにこれを享受しない違法表現に対すると同様の一般的な規制は許されず、唯一許容されるその青少年に対する提供のみの規制が、ネット上での有害表現に対しては従来型メディアにおけるような実効性をもちえず、ゆえに青少年による有害表現への接触の機会が著しく増大していることに鑑み、まず、(1)ネット上の有害表現規制というこの問題につき技術的にも法的にも先駆的なアメリカを比較法対象として、同国における有害表現の法的規制の在り方をその歴史的起源にまで遡って、今日に至るまでの史的展開を重視しつつ比較的詳細に分析する。その上で、(2)その規制根拠論について、同国におけると共にわが国でも従来から、存否が明確ではないが一応の前提とされてきた、有害表現と青少年の問題行動との間の因果性につき、表現の自由保障と青少年の健全育成とを対抗的利益と捉えるのではない視点からの批判的検討を試み、存在立証の困難なこのような因果性ではなく、健全育成に対する親の権利という新たな規制根拠論の妥当性の立証を試みる。ついで、(3)この規制根拠ないし利益を前提に、規制手段論として、この利益の達成に適した規制の具体的在り方を考究し、結論として、青少年の保護者がそれに適すると考える情報のみの受信を決しうるような、保護者による情報制御を可能にする技術の開発・導入等を公的に支援・促進するという方法での法的対応の妥当性の論証を試みる。 なお、大部な研究となる見込みであることから、本年度においては上記(1)(2)の部分の研究が主となった。
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Research Products
(1 results)