2005 Fiscal Year Annual Research Report
資産形成取引における情報開示の研究-「規制緩和」下の金融取引を中心に
Project/Area Number |
17730062
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮下 修一 静岡大学, 人文学部, 講師 (80377712)
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Keywords | 民事法学 / 情報開示 / 資産形成取引 / 規制緩和 / 金融取引 / 情報提供義務 / 説明義務 / 開示義務 |
Research Abstract |
本年度は、3カ年の継続研究の初年度であることから、わが国における具体的な問題状況の実証的把握と検討に主眼をおいて研究を実施した。 まず、最大の研究実績としては、『消費者保護と私法理論--商品先物取引とフランチャイズ契約を素材として--』(研究代表者単著、信山社、2006年刊)の刊行があげられる。これは、本研究の開始以前に行ってきた研究成果をもとにしながら2004年から2005年にかけて改正がなされた資産形成取引をめぐる立法状況もふまえつつ、裁判例の実証的分析などを通して、非対等当事者間での契約締結段階における情報提供義務(説明義務)の新たな理論的枠組みを明らかにしたものである。なお、この著書の原型をなす内容については、2004年に実施された日本私法学会第68回大会において個別報告の形で発表したが、その概要については、「契約関係における情報提供義務--『契約上の債務』として再構築」として私法67号(2005年刊)に掲載されている。 次に、本年度は、本研究の中心的課題である新しい金融商品などの資産形成取引に関する情報開示をめぐる新たな理論構築のための第一段階の作業として、金融コングロマリット化の動きの中で急速に発展してきた銀行等金融機関の窓口における商品販売(いわゆる「銀行窓販」)について、契約締結時における金融機関側の不正確・不適切な情報提供をめぐる責任法理を明らかにすることを試みた。この研究成果については、「金融機関による商品販売の勧誘と説明義務」として、法政研究(静岡大学)10巻3=4号(2006年刊)に掲載されている。 以上の通り、本年度については、当初予定したとおりの研究成果を得られたものと考えている。
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