2005 Fiscal Year Annual Research Report
家族法における法原理の探究および法規範の内的正当化をめぐる研究
Project/Area Number |
17730068
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦野 由紀子 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (70309417)
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Keywords | 民事法学 / 家族法 |
Research Abstract |
平成17年度は、法原理の定義および意義をめぐる議論の整理、法原理と法理念との関係、および実定法規範・制度において法原理がどのように具体化されているか、等に重点を置き、ドイツ家族法に関する研究を進めた。より具体的には、ドイツ家族法をめぐる議論において、(1)何が法原理として捉えられているか、および、(2)法原理は、ドイツ家族法のどのような制度の中で、どのような形で具体化されているか、について検討を試みた。たとえば、双務性原理、信頼原理、といった財産法で挙げられる法原理が、家族法でも問題となりうる場面があるほか、婚姻関係や家族という共同体の形成・運営に関わる法領域であることから、とくに参加原理(das Prinzip der Teilhabe)が、家族法において重要な意味をもつ。これら法原理は、具体的には、たとえば離婚の財産的効果に関する規律(付加利得共通制、離婚後扶養の制度等)や親族間扶養、法定相続制度等、現行の諸制度の存立を支えるものとなっているが、この点に関しては、今年度においては深く検討することができなかった。今後、(2)の問題を分析するにあたっては、とくに近年、ドイツで、扶養法(とくに老親扶養の問題)、同性カップルの法律関係、離婚後の効果をめぐる問題等について、法改正を視野に入れた議論が盛んになされていることが参考になるだろう。これらの議論が、変化する社会状況・家族関係への対応という実質的側面からだけではなく、法原理の観点からどのように評価されるべきものなのかは、興味深い問題であると思われる。この問題については、比較法的観点から来年度も引き続き検討を試みる予定である。
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