2007 Fiscal Year Annual Research Report
家族法における法原理の探究および法規範の内的正当化をめぐる研究
Project/Area Number |
17730068
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦野 由紀子 Kobe University, 法学研究科, 教授 (70309417)
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Keywords | 民事法学 / 家族法 |
Research Abstract |
平成19年度は、前年度(平成17年度)に引き続き、ドイツ家族法に関する議論における法原理の内容、及び立法や解釈における法原理の具体化について研究を進めるとともに、日本法についても若干の考察を行なった。具体的には、わが国の家族法をめぐる議論において、(1)何が法原理であると考えられているか、(2)法原理をめぐる問題は、どの程度意識的に扱われている(きた)か、(3)わが国の家族法の制度や解釈論は、法原理の観点から、適切な規律や保護を図るものといえるか、といった問題について検討した。前年度(平成17年度)の研究成果をふまえてわが国の家族法の解釈問題について検討した。前して、「推定の及ばない子」をめぐる論稿がある(「『推定の及ばない子』をめぐって(上)(中)(下)」法学教室307号〜309号。平成18年の公表論文なので厳密には前年度及び本年度の研究成果に該当しないが、本科学研究費補助金による成果の1つであるので、ここに記す)。「推定の及ばない子」の理論は、民法典の定める嫡出推定=否認制度の例外ルールとして展開され、今日では判例・通説となっているものだが、この理論につき、本雑誌論文では、これまであまり意識されてこなかった法原理の観点から、学説・判例を洗い直す作業を通じて、わが国の家族法解釈学に内在する問題点及び家族法の原理的考察の必要性を多少なりとも指摘できたのではないかと考えている。来年度も引続き、家族法の諸制度について、このような法原理の観点から分析を加え、具体的な制度や解釈論を取り上げて、とりわけ上述した(3)の問題に重点を置いて、検討を進める予定である。
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