2008 Fiscal Year Annual Research Report
家族法における法原理の探究および法規範の内的正当化をめぐる研究
Project/Area Number |
17730068
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦野 由紀子 Kobe University, 法学研究科, 教授 (70309417)
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Keywords | 民事法学 / 家族法 |
Research Abstract |
平成20年度は、わが国の相続法の諸制度や解釈論について、法原理的観点からそれらがどのように正当化されうるか、および、法原理に照らしてどのような問題がありうるかを検討した。共同相続人間の平等は、相続法における重要な法原理の一つであるが、とくに、遺産分割制度や遺留分制度を対象に、当該制度や解釈論がこの法原理をどのように考慮して構築されているか・構築されるべきかを中心に考察した。まず、遺産分割の効力に関する条文は、制度の背景にある法原理との関係をあまり明確にされることなく、戦後(昭和22年)の民法改正の際に改正されたもののようであるが、相続財産取引をめぐる問題において、共同相続人間の公平に配慮しつつ第三者保護を図る方策として、今日の制度・解釈論が適切かどうかを、判例分析の形で検討した。次に、遺留分制度については、遺留分の算定の基礎となる財産や減殺対象となる財産の範囲をめぐって、「共同相続人間の平等をどのレベルでどこまで考慮するか」によって学説の立場が分かれることを確認した。また、平成20年に成立した「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に規定された「遺留分に関する民法の特例」に関して、民法の遺留分制度(とくに事前放棄制度)との関係や相違点を検討し、法原理をふまえて規律内容を分析するとともに、この法律が提示した「契約による事前の相続規律」の可能性に着目し、それが相続法全体にどのような影響をもたらしうるかについても、検討した。
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Research Products
(3 results)