2005 Fiscal Year Annual Research Report
取引過程における目的物の価値の把握・追及に関する実態的研究
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17730077
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田村 耕一 熊本大学, 法学部, 助教授 (70315216)
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Keywords | 自動車販売 / 信販会社 / 所有権留保 |
Research Abstract |
本年度は、わが国における、実態調査を中心に研究を進めた。 まず、わが国の大手自動車販売会社に対して、自動車販売における販売形式と担保についての実態、販売店レベルでの意識や実際について、聞取り調査を実施した。その結果、現在の販売形態は、信販会社を利用する場合がほとんどであり、しかも利用する信販会社は複数有り、同一グループ企業の信販会社の積極的な利用という傾向もなく、販売店毎に利用する信販会社が異なり、その信販会社も一定地域に事業展開する会社であり自動車販売会社の各店レベルで独自に利用されていることが明らかになった。また、担保については所有権留保が利用されているが、担保としてそれほど重要視しておらず実行の経験もないとの回答であった。なお、販売店レベルでは自動車抵当は存在すら認識されていなかった。 次に、輸入車販売会社大手に対して、同様の聞取り調査を行った。信販会社を利用する場合がほとんどであるのは同じであった(この場合は販売会社と関係する信販会社であった。)。特徴的なのは、高級車を中心に、ローン支払方法を当初半額に設定し、3年後に残ローンの支払か自動車売却による返済、という販売方法が利用されている点である。これに関する販売側の認識は、「清算を前提とする販売」ではなく、ある種の戦略的な売り方、(月々の支払を抑え、自動車に残価がある内に車の買換えを薦める)というものであった。 さらに、信販会社に対して特に所有権留保につき聞取り調査を行った。その結果、費用と手間の点から所有権留保に代る適当な担保方法がないこと、効果の有無とは無関係に業界全体の動向・傾向を意識せざるを得ないこと、回収ができない場合は自動車を売却させ自ら積極的な実行手続は採っていないこと、回収困難な債権はそもそも回収業者に譲渡し自ら関わっていないこと、が明らかになった。
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