2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730080
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 千秋 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (40386529)
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Keywords | フランス / 会計監査役 / 手段債務 / フォート / 監査 / 不正 / 専門家責任 |
Research Abstract |
本年度は、本研究対象期間以前からの研究に引き続き(「フランスにおける会計監査役の任務と民事責任(1)」早法81巻4号(2005年)99頁)、会計監査役の任務および民事責任の理論的枠組みについて検討し、論文を執筆した(早稲田法学81巻2号、3月刊行予定)。現在は、会計監査役のフォートについて判例を網羅的に検討しており、来年度初めにこの問題について論文を提出する予定である。 会計監査役の任務については、1966年法による専門家資格の創設以降、会計監査役が会計監査(監査・証明)だけではなく一定の業務監査(適法性監査)など多数の任務を担っていることを論じた。 会計監査役の民事責任の理論的枠組みについては、1867年法当時の株式会杜における監査役と対比して検討した。監査役については、株主の受任者であり会社と契約関係にあると解されていたが、会計監査役については現在、受任者ではないので会社と契約関係にはなく法定の関係であると解されている。これにより、会計監査役の民事責任は対会社・対第三者責任とも不法行為責任であるとされている。これに加えて、判例・学説は、伝統的な債務法の分類である手段債務概念を借用し、「通常程度に注意力があり勤勉な会計監査役」(つくすべき注意)と比較することによってはじめて会計監査役がフォートをなしたかどうかが明らかになるという枠組みを構築してきた。 会計監査役のフォートについては、会計監査に関する任務とその他の業務監査に関する任務とを分類した後、数多くの判例の分析を行なうことにより、それぞれどの程度の注意を会計監査役がつくさなければならないのかを明らかにする。会計監査に関する任務については、会計監査役の民事責任が追及される事例を原因別(不正か誤謬か、不正の場合には経営者不正か従業員不正か)に類型化して検討を行なう(現在、執筆中である)。
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