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2005 Fiscal Year Annual Research Report

不法行為制度における責任の社会化と個人の権利保障-過失責任システムの基礎的研究-

Research Project

Project/Area Number 17730082
Research InstitutionDoshisha University

Principal Investigator

野々村 和喜  同志社大学, 法学部, 専任講師 (50388039)

Keywords不法行為 / 過失責任 / 過失 / ネグリジェンス / リステイトメント
Research Abstract

本研究は,日本不法行為法理論が「迅速かつ実効的な被害者救済」を指向する過程で,過失・違法性・因果関係に関する解釈理論が深化する一方,具体的事件では,加害者の行動自由領域の保障という,被害者救済に並ぶ過失責任システムの本来的機能が読み取りにくくなってはいないか(換言すれば,種々の解釈上の争点もこの問題に由来する部分が大きいのではないか)との疑念に対し,上記機能の現代的意義の検証および同機能をより適切に具体化できる一般的枠組みの検討を試みるものであり,本年度は,アメリカ第3次リステイトメント計画に関する調査・整理を中心に作業を進めた。概要を要約すれば以下のとおりである。
2005年5月ALI年次総会で提案・条件付承認された最終草案(Proposed Final Draft)では,同計画最大の眼目であった義務不存在ルールが土壇場で修正され,義務(Duty)および義務違反としてのネグリジェンス概念が,加害者側のFault(責任原因)の一つたる位置づけを回復するに至っている。暫定草案でのリポーター提案をめぐる議論はすでに紹介を試みたが,最終草案での修正の直接的要因はさらなる資料収集と分析が必要であり,現時点でその理論的意義を即断することはできない。
その他,ヨーロッパ不法行為法原則策定作業の検討を試みる研究者との意見交換および独自の調査によると,同原則でも類似の方向性がみられる(もっとも,現実の事件類型の多様性との狭間でやや錯綜した状況にある)ことも確認されている。また,ごく最近のわが国の裁判例でも,医療事故をはじめとして,判断の重心を過失認定から法益侵害の認定へと移す傾向がみられる。
次年度は,アメリカでの議論状況のさらなる分析とともに,他の議論状況(とりわけわが国裁判例の傾向)との比較対照を試みながら,総合的検討と成果のとりまとめに取り組む予定である。

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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