2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730085
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新保 史生 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 助教授 (20361355)
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Keywords | バイオメトリクス / 個人情報 / テンプレート / 顔認証 / PETs / プライバシー |
Research Abstract |
本年度は,(1)技術的及び運用面における研究について,顔認証装置を設置してバイオメトリクス認証装置の利用に伴い生ずる可能性がある問題の洗い出しを行うとともに,(2)法的側面における研究について,バイオメトリクスの利用と個人情報保護法上の問題について検討した。 (1)については,バイオメトリクスの利用局面に応じて,その利用をめぐる問題の検討を主に顔認証証装置を利用することによって実際に生ずる可能性がある問題を把握した。 (2)については,日本の個人情報保護制度とバイオメトリクスの利用をめぐる問題について検討した。検討内容は,主にバイオメトリクスの個人情報該当性について検討を行った。(1)個人情報への該当性判断については,a)生存性の要件,b)個人識別性の要件,c)身体的特徴と個人識別性,d)行動的特徴と個人識別性,e)バイオメトリクスとDNA,f)テンプレートの個人情報該当性について検討を行った。(2)個人データに該当するバイオメトリック・データに係る問題については,サーバ認証型とクライアント認証型では個人データへの該当判断が異なることを示すことができた。(3)個人情報の取扱いに係る問題については,登録処理過程及び認証処理過程におけるバイオメトリック・データの取扱いに係る問題を検討し,バイオメトリック・データを一度登録することで複数の認証装置において利用する場合や,不特定多数者から特定個人を抽出する際に利用するなど,バイオメトリック・データの共同利用に係る問題の検討が重要な問題であることを認識した。 今後の課題は,a)バイオメトリクスの利用に伴う予測不能な問題(Function Creep)への取組みの問題、b)監視手段としての利用に関する問題、c)透明性を確保した上での利用のあり方をめぐる問題を検討し,(1)法制度(バイオメトリクスの利用に係る法整備の問題)、(2)指針や課題解決のための枠組みの方向性(バイオメトリクスの利用に係る基本的な枠組みや指針の策定、諸課題への対応のあり方)、(3)技術的検討課題(耐タンパ性やPETsの利用など)などの問題にも焦点を当てて研究を行いたい。
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