2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730088
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島村 健 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (50379492)
|
Keywords | 環境責任 / 警察責任 / 汚染者負担 |
Research Abstract |
第一に、近時のドイツ環境法における環境損害の防止・汚染の除去にかかる費用負担のあり方を扱う法学文献を引き続きフォローしている。例えば、気候変動対策の分野では、ドイツを含む欧州では、排出権取引市場が成立しているが、排出権の初期分配のあり方と企業の営業の自由との関係、あるいは、排出権の法的性格などを分析するモノグラフ・論稿が公表されている。これらについては、今後も引き続き検討することとする。 第二に、わが国においては、環境税・排出精取引の導入をめぐる議論はやや停滞している感が否めないが、この間、廃棄物・リサイクルに関する法制度については、環境責任をめぐる法政策に動きがあった。すなわち、容器包装リサイクル法が改正され、容器包装廃棄物の分別・収集に要する費の一部について、事業者等が負担することとなった。家電リサイクル法については、改正がならず、議論が続いている。これらの立法動向を引き続きフォローするとともに、拡大生産者責任という理念の射程、財産権との関係について公法学的観点から検討している。 第三に、近時の環境間題の特質として、被害発生の蓋然性がそれほど高くない場合、あるいは蓋然性の計算すらできない場合であっても、規制が必要となる場合があるという点がある(予防的介入の必要性)。このような場合に、規制するコストの負担を、被規制者に課することの根拠、射程、正当性について、ドイツにおける議論、日本におけるいくつかの法実践を参照しながら検討した。この点については、2006年6月に行われた環境法政策学会において報告を行った。 第四に、2006年度後半は、ドイツ・フライブルク大学に滞在する機会を得たので、パーデンビュルテンベルク州における環境法の実践を調査している。
|