2005 Fiscal Year Annual Research Report
中東における経済的自由化の進展と政治的自由の閉塞に関する研究
Project/Area Number |
17730094
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
濱中 新吾 山形大学, 地域教育文化学部, 助教授 (40344783)
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Keywords | レンティア国家 / フォーマル・モデル / パネル・データ分析 / 非民主体制の持続 / 中東政治 / 比較政治学 |
Research Abstract |
本研究における17年度の目標は、経済発展と再分配政策をめぐる国内政治主体の相互関係に焦点を当て、他地域における権威主義体制の崩壊と民主主義体制への移行メカニズムの例と照らし合わせることによって、中東諸国の非民主体制が民主化の流れに翻弄されず、生き残った要因を考察するための基礎的な研究を行うことであった。 まず、中東での政治的自由が閉塞している原因が、政府財政における非税収部分の大きさ(レント)にあり、それゆえに政府が政治的自由化を進めるインセンティブを持たないとする「レンティア国家論」の先行研究をレヴューし、この理論を演繹的でかつ内部整合性のあるものとするフォーマル・モデル化を図った。 当該研究の特色は比較分析という枠組みを通して、非民主体制の持続に成功している中東政治のユニークさを明確にすることにある。このため本研究では、多国間比較用の時系列情報(パネル・データ)を作成し、統計分析を行うこととした。ニューヨーク大学のAdam Przeworski教授とメールで連絡を取り、Dynamic Probit Modelに関するテクニカルなアドバイスを受けた。これを参考にして統計的に有意な実証分析結果を得ることができた。 こうしてレントが経済的豊かさをもたらす一方で、政治的自由化を進めるインセンティブを政府に与えないとする仮説は、理論的にも実証的にも支持できることが明らかにされた。この成果を2005年11月20日に開催された日本国際政治学会の部会にて報告した。
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