2005 Fiscal Year Annual Research Report
オランダにおけるポピュリズム政治の出現-その背景・構造・イデオロギー
Project/Area Number |
17730099
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
水島 治郎 千葉大学, 法経学部, 助教授 (30309413)
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Keywords | オランダ / ポピュリズム / 新右翼 / 比較政治 / イスラム移民 / フォルタイン党 |
Research Abstract |
2005年度は研究の初年に当たるため、研究の基礎となるべき理論枠組みおよび具体的な事実関係を明らかにすることを中心に研究を進めた。 まず理論枠組みとしては、さまざまな政治学・歴史学・経済史関連の研究を用いつつ、近年オランダをはじめとする西ヨーロッパ諸国における新右翼政党の台頭を比較政治的に解明する検討を行った。特にそこで注目したのが、従来社民や左派が擁護してきた「福祉国家」というシンボルを新右翼が積極的に活用し、「福祉国家を守るためには移民を排除しなければならない」という形で主張を展開することで、従来極右とは縁のなかった新中間層に訴えることが可能となっている現象である。「国益の追求」が「福祉国家の維持」と等値されることで、新右翼の主張はむしろリベラルな装いをまとって選挙民の前に姿を現しているのである。 また具体的事実関係としては、1994年から2002年まで継続した紫連合政権の政策を新右翼躍進の背景として検討を進めるとともに、2002年前後のオランダ政治の展開、フォルタイン党躍進をめぐる言説状況について資料を収集し、分析した。そしてフォルタイン死後もイスラムをめぐる政治的・社会的議論がむしろ先鋭化し、新たな新右翼政党も結成も生じていることから、これに関する資料も収集、検討した。 以上の研究成果については、2005年11月に岡山大学で行われた社会思想史学会の学会報告「啓蒙主義的排外主義の出現?」として発表する機会に恵まれ、フランスなど周辺諸国を研究する専門家と討議することもでき、今後の研究の発展に重要な刺激となった。
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Research Products
(2 results)