2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における政官関係の変容-その人的・質的変遷を中心に-
Project/Area Number |
17730100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 唯一朗 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助手) (70361673)
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Keywords | 近代日本政治 / 政官関係 / 官僚制 / 試験制度 / 統治機構 / 統治構造 |
Research Abstract |
研究期間(3年)の初年度となる本年度は、これまで研究代表者が行ってきた明治・大正期における政官関係構造の総体的な分析を行い研究全体を俯瞰できる基盤を形成し、加えて、今後の展望を踏まえ昭和戦前期から戦後までを射程に据えた史料収集に重点を置いた。 まずもって必要となったのは、大正末期、政党内閣時代の到来にあたって形成された政官関係の分析である。そのため、これまで研究代表者が提示してきた政官関係構造(政友会スタイルと憲政会モデル)に加え、政党内閣期において両者を媒介する機能を内閣に見出し、政党・内閣・官僚関係という構造を提示した(日本政治研究学会(2005年5月)にて報告、論文(「護憲三派内閣期における政党と官僚-政党・内閣・官僚関係の『確立』-」『日本政治研究』3巻1号、2006年1月)として発表)。 これを受けて進めた総体的な分析においては、政党・内閣・官僚関係という構造を軸に、統治機構の制度設計と意識変化の抽出・分析を進めた。そのエッセンスについては日本政治学会において報告し(2005年10月)、当該研究により慶應義塾大学より博士(法学)の学位を授与された。 史料収集については、文献資料に加えて政官の接点にあった人物について調査を進めている。とりわけ、西園寺内閣の書記官長を務め、政党・内閣・官僚の連絡調整にあたった南弘の史料を得たことは資するところ大である。同史料については研究代表者が整理し、梧陰文庫研究会において研究報告を行った(2005年12月)。 また、研究を深めるうちに、本研究の主眼である人的・質的変化をトレースするには、地方からの人材供給ルートの形成と展開を分析する必要があることを痛感し、パイロット・リサーチに着手した(長野県近代史研究会、2005年10月において報告。近刊)。この分析については第二年次以降、より深めていきたいと考えている。 (789字)
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Research Products
(1 results)