2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における政官関係の変容-その人的・質的変遷を中心に-
Project/Area Number |
17730100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 唯一朗 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助手) (70361673)
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Keywords | 政治学 / 日本史 / 思想史 / 社会学 / コンテンツ・アーカイブ |
Research Abstract |
研究第二年度(三年計画)となる本年度は、初年度において明治・大正前中期の政党・関係資料を収集・分析したのに引き続き、大正後期からのいわゆる政党内閣期における政党・官僚関係資料の積極的収集に努めた。関東大震災の被害を受けた初年度の対象範囲とは異なり、当該時期の資料は相応に現存し、とりわけ官僚出身政治家の遺族より複数の未発見資料を入手することができた。 加えて本年度は、昨年度までの研究分析結果を単著『政党と官僚の近代一日本における統治構造の相克』(藤原書店、2007年)を本研究の成果として刊行することができた。政党・官僚関係の変容に注目が集まる中、同書には多くの関心が寄せられ、学界・官界にとどまらず、広く社会に本研究の成果を還元する一助とすることができた。 刊行後に寄せられたのは、当該研究の視点に基づいて政党内閣期を分析した場合、いかなる知見が得られるかということへの期待であった。研究代表者は昨年度より、当該時期に研究領域を広げ準備に努めてきた。護憲三派内閣による制度的確定の後も、二大政党は各々が描く統治構造モデルに従い、さらなる政党・官僚関係の深化を進めていたことが明らかになりつつある。 今日の二大政党の存在との比較も有益な成果を生みつつある。本研究のこれまでの成果によって、従来は類似した政権獲得のためのツールと捉えられていた昭和戦前期の二大政党対立が、実際には統治構造設計から個々の政策にいたるまで多くの差異を有していたことが判明しつつある。これを明らかにできれば、翻って、そうした実態とは乖離して腐敗状況ばかりで捉えられ、崩壊した昭和戦前期政党政治の正負両面の実態を明らかにすることができるであろう。
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Research Products
(1 results)