2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大瀬戸 真次 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00278475)
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Keywords | 公共財供給 / 非分割財の配分 / 戦略的操作不可能性 / 非羨望性 / 効率性 / 対称性 |
Research Abstract |
本研究では、経済環境における社会的選択とメカニズム・デザインの問題を取り扱う。 平成17年度は、公共財の供給と費用配分、非分割財の配分問題の2つの経済環境について詳細に分析を行った。研究の第一段階として、それぞれの経済環境における「望ましさ」の基準について検討を行った。研究の第二段階として、それぞれの経済環境において「望ましい」帰結を達成するための社会的制度(メカニズム)の設計の可能性を模索した。 公共財の供給と費用配分に関しては、Moulin (1994, Review of Economic Studies)で提示されたシリアル・メカニズムの再検討を出発点とした。シリアル・メカニズムは戦略的操作不可能性、非羨望性など数々の望ましい性質を持つが、効率性の観点からは十分に満足できるものとは言いがたい。そこで、シリアル・メカニズムの構造によく似た新しいメカニズムの集合を考案した。これらの新しいメカニズムは非羨望性を満たしており、またその集合の中で戦略的操作と効率性の間でトレード・オフがあることを証明した。 非分割財の配分問題に関しては、戦略的操作不可能性、対称性、予算均衡を満たすメカニズムの存在について検討を行った。さらに望ましさの基準として、(1)等しい補償、(2)整合性のある補償、(3)個人合理性、のいずれかの補助公理を課すことにより、不可能性定理が成立することを証明した。これらの補助公理がない場合でも、社会の構成員が少ない場合には同様に不可能性定理が成立することを証明した。
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