2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大瀬戸 真次 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00278475)
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Keywords | 経済理論 / 社会的選択 / メカニズム・デザイン |
Research Abstract |
本年度は、非分割財の配分問題と排除可能な公共財の供給問題に関して、メカニズム・デザインの研究を行った。 非分割財の配分問題では、貨幣による償が可能な状況において1単立の非分割財を配するためのメカニズムの集合の中に、戦略的操作不可能性、対称性、予算の均衡という3つの公理を満たすものが存在するか否かを検討した。第一に、補助公理として、均等な補償、標準的な補償、個人合理性の3つの条件のうち1つを課せば、そのようなメカニズムは存在しないことを証明した。第二に、コンピューターによる計算の結果、社会の構成員が30人以下の場合には、補助公理なしで非存在定理が成立することを確認した。第三に、選好の集合が極めて制約された状況のもとでは、逐次メカニズムがすべての公理を満たすことを示した。 排除可能な公共財の供給問題では、ムーラン『(1994)によるシリアル・メカニズムが戦略的操不可能性、個人合理性、対称性など様々な公理を満たす優れたメカニズムであるこが知られている。しかし、効率性の観点からは必ずしもよい性能を示すとはらない。そこで、修正されたシリアル・メカニズムの集合を考え、戦略向可能性や効率性の点から分析を行った。修正されたシリアル・メカニズムとは、排除可能な公共財による便益を享受しない社会の構成員に費用負担を求めるものである。その結果、修正されたシリアルメカニズムの集合の中で、戦略的操作不可能性と効率性の間のトレード・オフを指摘することに成功した。
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