2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730128
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 大昌 東京大学, 社会科学研究所, 助手 (10396898)
|
Keywords | 経済理論 / 産業組織 |
Research Abstract |
本年度の研究においての喫緊の課題は、立地-数量競争モデルの基本的な性質を明らかにすることであった。そこで、先行研究で扱われていなかった輸送費用の非線形性を導入し、均衡の変化や厚生への影響を検討した結果、Matsumura and Shimizu(2005,Economics Letters)において、数量競争モデルと価格競争モデルにおいての結論の差を示した。数量競争モデルにおいては、二社の企業は輸送費用がある程度現実性を持つものであれば必ず最も離れて立地をする。つまり、製品差別化の議論から考えれば製品を特色付けて、お互いとの製品との差別化を図ることが均衡となる。しかしながら、価絡競争モデルにおいては必ずしもそうではなく、最大差別化は必ず均衡となるとは言えず、また輸送費用関数の形状により均衡が変化することが分かった。これにより、主に価格競争モデルが用いられている現状において、数量競争を使用する必要がある場合においては正しい政策提言との重大な差が存在することを示し、立地-数量競争分析の必要性を提示した。また、理論上のことではあるが、輸送費用が凹である場合と凸である場合では一見全く正反対の結論になると思われるが、これが戦略的に同質、つまり全ての凸関数に対してある凹関数が存在して企業の行動が全く同じになるという非常に興味深い結論が現れた。 次に、従来の立地-価格モデルを用いて得られた結論が、価格競争の仮定にどれだけ依存しτいるかの分析も行っている。そのため、本年度は現実のどの産業・市場で数量競争あるいは価格競争の説明力が高いかを明らかにし、既存の理論から予想される結論と整合的であるかを検証する作業の一環として、自動車産業と航空産業についてのデータの整備を行った。
|